2019年 03月 17日
和食のおもてなし |
日本語とケーキのところで書いたR君は、去年の11月から、
ワーキングビザで日本に滞在している。
東京の日本語学校に通い、個人レッスンも受けて、
日本語をグレードアップしたのち、
今は北海道のホテルでアルバイトしている。
トイレ掃除とベッドメーキングをする代わりに、
四人部屋に住まわせてもらっているらしい。
R君の母親、ブリジットはこれを機に、五月に
女友達とともに日本に2週間の旅行に出かける決心をした
旅程などの相談を受けるために、
昨晩はブリジットと彼女のパートナーを和食に呼んだ。
和食のおもてなしは、私には洋食よりも難しい。
洋食ならば、ラムローストとか牛の頬肉のワイン煮込みとか、
一つでっかいメインを作って、あとは添えつけのポテト料理や
野菜料理、前菜(どういうわけか春巻きを望まれる)とデザートで
ことが済む。
和食、純和食となると、魚や野菜の種類が少ない当地では
できるものが限られてしまう。
ブリジットたちに、できるだけ純和食の経験をさせてあげたくて、
ない知恵を絞った。
その結果、したのは、日本人にとってはごく普通のおかずだけれど、
ドイツ人には珍しいであろうもの。
それと、普段なら人を招待した時にも、料理は全て
テーブルの真ん中にドデーンと置いて、
各人が自分の大皿にとって食べるシステムをとっていたけれど、
今回は、日本の旅館のように、一つ一つを大小の小鉢や皿に入れて出した。
作ったのは、まずは
コールラビ(カブのようなものだけれど、カブの香りがなくて、しゃっきりしている)
とキュウリの酢の物(柚子の皮も)、
ほうれん草の胡麻和え、
ヒジキと鶏肉の煮物、
絹ごし豆腐(当市にはエコの豆腐を作る会社があって、そこの絹ごしどうふは
トロトロですぐに壊れてしまうけれど、ものすごく美味しい)のキノコあんかけ、
エビしんじょの吸い物。
これらは全て一つ一つ小さな容器に入れて出した。
あとは、
スモークサーモンやアボカドを入れた五目寿司、
アスパラガスの牛肉巻き、
そしてナス入り餃子。牛肉巻きと餃子を和食と呼んで良いものか、、、。
違うよね、きっと。
この三つはテーブルに置いて、各自で取ってもらった。
まあ、おもてなし料理とは日本では呼べないような品ばかりだけれど、
ドイツでは普段見慣れないものだから、いいかなと思った。
面白いことに、ブリジットと彼氏が特別に褒めたのは、
コールラビの三杯酢とヒジキだった。コールラビの酢の物がドイツ人受けするのは、
前に読んだことがあった。でも、ヒジキの煮物やほうれん草の胡麻和えが受けるとは
思わなかった。ヒジキは、残ったものが入っている鍋をテーブルに置いて、
好きなだけ食べてもらった(ほとんどなくなった)。
餃子も売れて、残ったのは五目寿司とアスパラのギュ肉巻きだけだった。
私自身は、エビのしんじょの吸い物がお気に入り。山芋の香りが大好きだけれど、
これを作るのは難しい。山芋を入れすぎると、しんじょが壊れてしまう、けれど
山芋をたくさん入れたい。
そのためには前もって、しんじょを蒸すか、チンしなければならない。うー面倒。
デザートの前に、私たちが18年前にした日本旅行のスライド(デジタルではなくて、
アナログのスライド!!)を見せた。
彼女たちに京都と奈良以外のところも知ってもらいたかったので。
私が好きなのは金沢や高山だ。兼六公園のスライドがたくさんあったので、
これでもか、というほど見せてしまった。
デザートは和食とは関係ないクレム・ブリュレとマンゴー。
そして、恐る恐る、手製の大福を出した。
小豆を煮て作った餡を、白玉粉で作った餅で包み、上に桜の塩漬けを乗せたもの。
こういうのを好きだと感じるドイツ人は少ない。
驚いたことに、二人ともやけにこれが気に入って、残りの二つは持って帰った。
翌日の朝食で食べるんだって。
彼らの言い分では、餡だけだと粉っぽいけれど、餅との相性が抜群だと!
ブリジットと彼女の友達は、東京に数日滞在して、富士山や鎌倉なども
日帰り旅行で楽しんだあと、金沢に向かい、高山や郡上八幡、木曽路を見学してから、
京都と奈良に行き、さらには松山にも足を伸ばそうと計画している。
二人ともアーティストなので、何かアートの交流もしたいらしい。
残念ながら、この点では私は手伝えない。
「あっちにもこっちにも行きたい。行くところがたくさんありすぎ」
とブリジットはため息をつく。
そんな、一回で日本の全てを見ようったって無理な話よ。
私は東京生まれの東京育ちだけれど、東京の美しい庭園についてすら
いまだによく知らないし、日本国内で行ったことのない地方は
たくさんあるのだから。
ドイツ人だって、ノイシュバンシュタイン城を見たことない人が
大半だ(私も行ったことない。行きたくもないけど)。
彼女自作のロウソク入れ
材料はなんとコンクリート
それでも割れやすいのだとか。
内側のゴールドが豪華
by Solar18
| 2019-03-17 22:56
| 料理・パン・ケーキ
|
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Comments(9)
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zoushoin at 2019-03-17 23:29
こんにちは。
す、す、すごい!
すごすぎる!
料理上手だとはわかっていましたが、大福まで作るとはおみそれしました。脱帽!
ドイツで和食料理屋営業できそう!
す、す、すごい!
すごすぎる!
料理上手だとはわかっていましたが、大福まで作るとはおみそれしました。脱帽!
ドイツで和食料理屋営業できそう!
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hananokubikazari at 2019-03-18 07:52
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hananokubikazari at 2019-03-18 10:02
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waku59 at 2019-03-18 12:40
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Solar18 at 2019-03-18 18:07
> zoushoinさん
こんにちは。
全然、すごくないです。そもそも、こんな話題にもならないメニューをブログに載せることすら、躊躇しました。
料理上手ではなくて、料理をしている時が一番ラクチンなのです。気も体も。メディテーションみたいなもの。
大福は昔、ドイツに住む日本人向けのミニコミ誌に出ていたのですが、今ではネットにたくさん出ています。白玉粉を水でこねてチンするだけ。あとは延ばして、餡を包むだけです。
こんにちは。
全然、すごくないです。そもそも、こんな話題にもならないメニューをブログに載せることすら、躊躇しました。
料理上手ではなくて、料理をしている時が一番ラクチンなのです。気も体も。メディテーションみたいなもの。
大福は昔、ドイツに住む日本人向けのミニコミ誌に出ていたのですが、今ではネットにたくさん出ています。白玉粉を水でこねてチンするだけ。あとは延ばして、餡を包むだけです。
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Solar18 at 2019-03-18 18:12
> hananokubikazariさん
お役に立てるなら、レシピでも何でも書きますよ!!
でも、私の料理はいい加減なんです。登志子さんのブログをいつも拝見して、「真似したいな」とは思うものの、あんなに綺麗に作ることは絶対無理ですし、材料もこちらにはないしで、小さい頃から知っていた普段の簡単なおかずを並べただけにしました。
ベノワは魚なし、肉なし、希望してきたので、頭を抱えています。
野菜のキッシュとナスのペーストと、またまたコールラビとキュウリの三杯酢にしようか、それとも、、、と悩んでいます。
お役に立てるなら、レシピでも何でも書きますよ!!
でも、私の料理はいい加減なんです。登志子さんのブログをいつも拝見して、「真似したいな」とは思うものの、あんなに綺麗に作ることは絶対無理ですし、材料もこちらにはないしで、小さい頃から知っていた普段の簡単なおかずを並べただけにしました。
ベノワは魚なし、肉なし、希望してきたので、頭を抱えています。
野菜のキッシュとナスのペーストと、またまたコールラビとキュウリの三杯酢にしようか、それとも、、、と悩んでいます。
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Solar18 at 2019-03-18 18:15
> waku59さん
素晴らしいわけではなくて、品数を多くして誤魔化そうとしただけです。
そう、ドイツ人は食卓にロウソクを灯すのが好きです。
ただ、蜜蝋のロウソクは別として、普通のロウソクは空気を汚しそうで、それが怖いです。
はは、クナイぺね。この言葉は近頃はあまり聞かなくなりました。
素晴らしいわけではなくて、品数を多くして誤魔化そうとしただけです。
そう、ドイツ人は食卓にロウソクを灯すのが好きです。
ただ、蜜蝋のロウソクは別として、普通のロウソクは空気を汚しそうで、それが怖いです。
はは、クナイぺね。この言葉は近頃はあまり聞かなくなりました。
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waku59 at 2019-03-18 23:00
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Solar18 at 2019-03-20 19:33
Waku さん
35年前に留学生としてきたら時には、周りのドイツ人学生たちがしょっちゅう、クナイぺで集まっていました。
当時はタバコの煙でもうもう。
こうした友(10歳ぐらい年下です)の中にはすでに亡くなった方もいます。今となっては懐かしい思い出です。
35年前に留学生としてきたら時には、周りのドイツ人学生たちがしょっちゅう、クナイぺで集まっていました。
当時はタバコの煙でもうもう。
こうした友(10歳ぐらい年下です)の中にはすでに亡くなった方もいます。今となっては懐かしい思い出です。